設問設計時のポイント

アセスメントやアンケートを進める上では、いくつかのポイントや注意点があります。
アンケートの企画から設問を設計し、集計、フォローアップまでの一連の流れをご説明し、それぞれの検討段階で議論になるポイントをご紹介します。

議論のポイントは、アンケート・アセスメントの目的によって結論は変わってきますので、考え方や、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを整理していきます。

アンケートやアセスメントの方向性が決まりましたら、具体的な設問の設計になります。効率的な設問を用意することが次の大きな論点です。

 

設問構造の設計の際のポイント

属性の設定が成功のポイント

アンケートやアセスメントから意味のあるメッセージを引き出すためには、回答者の属性をしっかりと検討することが大切です。

回答者の属性の例としては、

  • 役職(一般、主任、課長、部長など)
  • 所属部署(営業課、経理課など)
  • 職種(営業など・事務担当、製造担当など)
  • 勤務地
  • 勤続年数、年齢、現在の部署での勤続年数
  • 性別、家族構成(既婚・未婚など)
  • 採用形態(新卒・中途など)、雇用形態(正社員、契約社員、パートなど)

などが考えられます。

これらの属性をきちんと取得していなければ、集計時に「全社平均では満足度は高いが、部署別の不満や、男性と女性での温度差が分からない。」という問題が発生することになります。

「それならば、たくさん属性を聞いとけば良いではないか?」と、なりますが、多くの情報を確認することが得策とは言い切れません。
回答者属性を多く聞けば聞くほど、「鹿児島営業所の、購買課に所属している、20代の、庶務担当の女性」という具合に、本人が特定できる可能性が高くなります。
匿名回答をしている場合でも、回答者が見たときに、回答者属性をたくさん書かせることで、本人を特定しようとしているのではないか?と誤解され、匿名回答の狙いである本音の回答が引き出せなくなる可能性もあります。

 

回答者属性を取得する上で、2番目の視点は、属性の分類のしかたを検討することも忘れてはいけません。
例えば、年齢という属性であれば、10代、20代、30代と分類しがちですが、社員の意識調査であれば、22歳から5年や10年刻みで整理していくと

  • 22歳~31歳:大学を卒業して、社会人として1人前になる期間
  • 32歳~41歳:家庭をを持ち始め、会社でも主任や課長といった小組織の長となりはじめる期間
  • 42歳~51歳:子供が自立しはじめて、会社でも大きな責任を持つ期間
  • 52歳~61歳:子どもが独立し、会社では後継者や後任を育成し、定年に向けて着地していく期間

といったように、社会人としての立場や価値観の変容とフィットした分類とすることができます。
このように、回答者属性として、何を、どのように収集するのかも、アンケート設計時に検討していくことが大切になります。

 

 

聞きたいことはたくさんあっても設問数は絞る

(回答時間は多くても15分~20分)

社員に対するアンケートは何度も実施することは出来ません。「いい機会なので、いろいろ聞いてみよう」となってしまっては、せっかくのアンケートも台無しになります。
回答者の皆さんは、忙しい中回答をしていただくので、アンケートの設問の分量も考えなければなりません。

例えば、1問30秒で回答していった場合、200問のアンケートであれば、100分(1時間40分)かかることになります。仮に回答時間が半分であっても、ほぼ1時間かかります。
人間が好きでもないことを行う際に集中力が続く時間はそれほど長くありません。
アンケートの設問数が多い場合、回答者は後半の設問になればなるほど、いい加減に回答してきて、正しい回答をもらえなくなることもありますので、回答時間についても配慮していきましょう。

 

設問の構造はMECE(モレなく、ダブりなく)であること

アンケートを作成する際には、聞きたいことを順番に書き出していきたいものです。しかし、思いつくままに設問を設計していると、確認モレが発生する恐れがあります。

たとえば、野球で「今日のゲームに関する評価」という設問であれば、

  • 本日の打撃はいかがでしたか?
  • 本日の走塁はいかがでしたか?
  • 本日の打者で特に印象的な選手は誰でしたか?

という3問だけで今日のゲームについての評価は十分なのでしょうか?野球は「攻撃」と「守備」に分かれていますが、アンケートでは「攻撃」のみしか扱っていません。もれなく確認するには、「守備」の観点もアンケートに盛り込まなければなりません。

 

また、「ダブりなく」という観点も意識しなければなりません。

例えば、「好きな犬を1選ぶ」という設問であれば、

  • チワワ
  • 柴犬
  • オスの柴犬

とあった場合、オスの柴犬好きの方は、「オスの柴犬」「柴犬」「犬」のいずれも選択できてしまいます。オスの柴犬好きの人であっても、「犬」を選ぶ可能性もあり、「柴犬」を選ぶ可能性もあります。アンケートを設計する際には、複数の回答を選べてしまうことも避ける必要があります。

 

 

目的に応じて設問形式を工夫する

詳細については、現在作成中です。いましばらくお待ちください。

 

リッカート形式(段階形式)

  1. 非常にそう思う
  2. そう思う
  3. どちらでもない
  4. そう思わない
  5. 非常にそう思わない

複数段階の選択肢のうち1つを選ばせる方式です。なじみのある選択肢ですので、回答しやすいメリットがある一方、高い得点を付ける傾向があります。

 

複数選択式

「あなたが、中華料理店になければならないと思うメニューを」以下の選択肢の中から、あてはまるものを3つ選んでください。

  • ラーメン
  • 麻婆豆腐
  • 天津飯
  • 回鍋肉
  • 酢豚

 

というように複数の選択肢から選ばせる選択肢になります。優先順位を高い項目を発見することは可能です。

 

プロブスト法

自分の性格に当てはまるものすべて選んでください

 

  • 闊達
  • おとなしい
  • 社交的
  • 積極的
  • 明朗である

というように、複数の選択肢の中から該当する項目を全て選ぶ選択肢になります。選択肢の自由度が高い点は特長ですが、選択肢を網羅的に揃えることが難しいことと、集計や解釈することが難しいという点が問題になります。

 

Yes/No形式

「紅茶と日本茶ならば日本茶を選ぶ」(Yes/No)というように、二者択一を迫る選択肢になります。

YesかNoを迫るためシンプルな設問になりますが、回答者に決断を迫ることになりますし、「日本サッカー界は盛り上がっていると思う」といったような、人によって解釈や捉え方が異なる(=YesかNoの回答にバラつきが異なる)ような設問はYes/No形式にはなじみません。

 

自由記述形式

いわゆるフリーコメント欄になります。フリーコメント欄自身は、集計することはできませんが、回答内容の背景や設問からは読み取れない定性的な情報を把握するために利用します。

 

選択肢は、5択(奇数)と4択(偶数)がある。

日本人は奇数が好きだが、「ふつう・どちらでもない」に偏る。

アンケートの選択肢を作る時には、選択肢の数も考える必要があります。アンケートの回答と言えば、

  1. 非常にそう思う
  2. そう思う
  3. どちらでもない
  4. そう思わない
  5. 非常にそう思わない

このような5つの選択肢をイメージすると思います。しかし、選択肢にも工夫の余地があります。例えば、選択肢を

  1. 非常にそう思う
  2. そう思う
  3. そう思わない
  4. 非常にそう思わない

という4択にすると、回答者はYesかNoのいずれかの意思表示をしなければならなくなり、「どちらでもない」という回答は出来なくなります。アンケートやアセスメントを集計するという観点では、どちらかの意思表示がされる点は有り難いのですが、曖昧が許されなくなるため、回答者の心理的な負担は大きくなります。

 

 

設問文・回答用紙の作成

個々の設問文で聞くことは1つ

設問を作成するポイントの1つは、設問で聞きたいことは1つに絞り込みましょう。
たとえば、「我が社は、経営理念や就業規則に従って社員は行動をしている。(Yes or No)」というよう設問であれば、「経営理念にはしたがって行動していると思うが、就業規則自体は周知されておらず、就業規則に従って行動しているかどうか分からない。」というケースの場合、回答しようがなくなってしまいます。

作成した設問で、1つのことに絞り込まれた質問となっているか推敲することは忘れてはなりません。
また、そもそもに立ち返り、「会社が定めたルールにしたがって行動しているかどうか聞きたいのか?」、それとも、「就業規則や経営理念の浸透度について聞きたいのか?」アンケートを通じて何を聞きたいのか練り直すことも大切です。

 

 

表記にこだわる(~である・~でない。なのかを統一する)

設問文については、表記についても検討してみましょう。

  • 私の上司は、私の意見を十分に聞いてくれている。
  • 私の会社は、必要な情報が十分に共有されていない。
  • 私の職場は、必ずしも十分に教育の機会を提供しないことはない。

このように、肯定文の設問と、否定文の設問が混在する場合、全体の平均値の集計をすることが難しくなりますし、集計結果の分析や読み込みの際に、得点が高いことが、良い事なのか悪いことなのかが混乱してしまいます。設問文は肯定文で統一するのか、否定文で統一するのかを決めておくこともポイントになります。
派生しますが、日本語の場合、二重否定文にすることで、柔らかい語感になりますがアンケートでは禁物です。回答者はパッと見て判断しますので3つ目の例文のように、Yes なのか No なのかがすぐに判断できない二重否定形の設問文は作らず、ストレートに聞いていきましょう。ちなみに「である調」と「ですます調」も統一していくことも大切です。

 

選択肢もMECEであることが重要

設問設計と同様に、選択肢についてもMECE(もれなく・ダブりなく)が大切です。
たとえば、回答者属性の年齢を回答させるときに、

  1. 20歳以上~30歳以下
  2. 30歳以上~40歳以下
  3. 40歳以上~50歳以下
  4. 50歳以上~60歳以下

という回答の場合、

  • 高卒で採用された、19歳の回答者は回答できない。
  • 20歳、30歳、40歳、50歳の回答者は、選択肢が2つ存在している。
  • 60歳を超える回答者は回答できない。

という問題が出てきます。「以上なのか、以下なのか」「超えるのか、未満なのか」などが代表選手ですが、回答の選択肢についてもMECE(もれなく・ダブりなく)を意識することが大切です。

 

回答用紙の印刷等の工夫

より積極的に回答をしてもらうためには、回答用紙についても工夫をすることも忘れてはなりません。

例えば、調査の目的や連絡先を明記することは当然ですし、加えて、必要となる所要時間の目安や、タイトルと設問文で、文字の大きさやフォントも工夫することも可能です。また、回答者の目線は左上から右下に流れていくので、目線の流れに沿ってレイアウトを配置しましょう。