回収・集計時のポイント

アセスメントやアンケートを進める上では、いくつかのポイントや注意点があります。
アンケートの企画から設問を設計し、集計、フォローアップまでの一連の流れをご説明し、それぞれの検討段階で議論になるポイントをご紹介します。

議論のポイントは、アンケート・アセスメントの目的によって結論は変わってきますので、考え方や、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを整理していきます。

アンケートが完成したら、回答をお願いし、回答用紙を回収し、集計を行っていきます。この工程で気を付けるべきポイントを解説していきます。

 

 

配布・回収

事前告知は十分に

アンケートの企画にはそれなりの時間と議論が必要になります。
事務局内では、おのずとアンケートやアセスメントに対する意識は高くなってきますが、企画段階では現場は蚊帳の外ですので、そのテンションで現場にアンケートを配布することはできません。

 

アンケート用紙をいきなり送付するのではなく、事前にアンケートの目的や配布時期等を現場に伝えておき、心の準備をしてもらうことも回答の質を上げるための一つのポイントです。
目的を伝達する際には、通知文書やメールで済ませすのではなく、朝礼や全体会議などのタイミングでトップの方より、直接メッセージを伝える方が、意識付けの効果は高くなります。

 

 

配布方法は、部署単位?それとも個人単位?

アンケートを紙で配布する場合は、回答者ご本人のお手元に届くまでの、回答用紙の流れも設計しなければなりません。
本人に直接郵送するのか、それとも社内便で拠点や部署にまとめて送付し、拠点の担当者に転送してもらうのかを決めなければなりません。
事務局と回答者本人の間に、人の手が介在する場合は、意図した相手に、意図した回答用紙が到着するよう、小分けにしておく等の配慮と工夫が必要になります。
特に、回答者を指定する多面評価(360度評価)では注意すべきポイントになります。

 

 

回答用紙の配布だけでなく、回収手段も用意すること(特に紙の場合)

アンケート配布の際には、アンケート用紙の回収方法についても検討しましょう。
回答用紙には本音が書かれていますので、上司などの目に留まることが分かっていたら本音を書きにくくなります。
また、直接事務局に郵送させる場合であれば、返信先の住所が印刷され切手を貼った状態の返信用の封筒も回答用紙と一緒に渡さなければ混乱のもとになりますし、回収率にも大きく影響します。
このように、回答用紙の回収方法も検討しなければならない重要なポイントになります。

 

 

締切期限の延長は、するべきか?

アンケートは締切ギリギリになると駆け込みで提出される傾向があります。
アンケートの締切目前に迫っているにも関わらず回収率が悪い場合は、アンケートの提出期限(締切)を延長すべきなのでしょうか?

配布から回収までの日数が短い場合や、業務の繁忙期と重なった、予期していなかったトラブルが現場で発生していたというときはやむを得ませんが、アンケートを数年実施しており経年変化を見ている場合などは、他の実施年と回収期間が異なると、回答率が変わって来てしまい単純比較がしにくくなります。
可能ならば回答期間内に回答の督促を出し、締め切りの延長は次善の策として用いることが望ましいと考えます。

 

 

インタビューも大切でも、やりすぎは禁物

アンケートと並行して、従業員や顧客などの対象者にインタビューを実施することで、アンケートだけでは十分に把握できない、生の声やエピソードを収集すことができます。
インタビューを実施する場合に、より多くの人に、より公平に聞きたいという心境になりがちですが、量をこなしても意味のあるインタビューにはなりえません。

量を追求してしまうと、スケジュールの調整から始まり、議事録の作成や会話の要約などの手間も増えます。
また、情報を集約する際にも、情報量が多いため集めた情報を有意義に活用しきれず、結局コストだけがかってしまったということになりかねません。
アンケートと並行して、インタビューを実施する場合は、対象者は必要最低限に抑え実施することがポイントになります。

 

 

集計

回収した回答用紙の管理方法

紙でアンケートやサーベイを実施した場合、回答用紙が事務局に戻ってきます。
データ入力をしてしまえば回答用紙は用済みになるのですが、のちのちになって、回答用紙の原本を確認することもあります。
どのデータが、どの回答用紙から入力されたものなのか分かるよう、回答用紙は戻ってきた順番に番号を振り、ファイリングをするなどアンケート終了まで管理をしておくことをお勧めします。

 

 

集計はエクセルなのかアクセスなのか?(内製で実施する場合)

アンケートやサーベイを社内で内製する場合の論点として、集計の媒体をどうするかも検討事項の1つになります。アンケートやアセスメントを集計する媒体としては、表計算ソフトである「エクセル」かデータベースソフトの「アクセス」を用いるのが一般的ですが、どちらのソフトを使用するのが良いのでしょうか?

  • エクセルを使用する場合は、会社で働いている多くの人がエクセルの操作経験を有していますので、集計が出来る人が多いということ、また、表計算ソフトですので、グラフの作成や再計算がしやすいという点が特長と言えます。しかし、大量のデータの集計や複雑な組み合わせの集計はアクセスと比較すると若干の物足りなさを感じることが欠点と言えます。
  • 一方、アクセスの場合は、大量のデータを様々な角度から集計が出来る点は大きな魅力です。しかし、アクセスはデータベースの設計を事前にする必要がある上に、美しいグラフを作る場合は、アクセスで集計したデータをエクセル上で加工するという手間があります。また、エクセルと比べて利用頻度の少ないソフトですので、社内の誰でも扱える訳ではありませんので、敷居の高さは残ります。

このように、集計のためのソフト選びも集計の前に検討しておく事を忘れてはいけません。

 

 

集計の組み合わせを事前に考えておく。(全てのパターンを集計するのは紙の無駄)

集計をする際には、「会社全体」「部署別」「役職別」「性別」などの属性毎に結果を集計し「部長と主任の意識の違い」や「男性と女性の意識の違い」等を比較していきます。
さらに、掘り下げて集計する場合は、「営業の男性」や「女性の管理職」と言った具合に、複数の属性を組み合わせ集計をすることで、より、どのようなタイプの人が何を考えているのかが見えるようになります。

このように、複数の属性を組み合わせて集計することで、深い示唆や新たな発見が出来る一方、組み合わせることで集計パターンが爆発的に増加します。
あらゆる組み合わせを見てみたいという気持ちは分かるのですが、あらゆるパターンを集計すると資料の読み込みの負担が大きくなり、結局十分な把握ができなくなります。
属性を組み合わせて集計する場合は、どのような組み合わせで集計するのかを、事前に決めた上で集計をしましょう。

 

 

「回答速報」や「集計速報」を作る

アンケートの回収状況や集計状況は、回収終了や集計終了するまで何もしないという手もありますが、回収率を高めたり、意識調査に対する注意喚起を促す場合は、アンケートの回収状況を共有する、「回収速報」や、概要の集計が終了した時点で「集計速報」を出してみましょう。

回収速報を公表することで、部門間での温度差を社内に周知することも出来ますし、回収の遅れている部門に対する督促の効果にもなります。
また、回答して下さった方は、「どんな結果だったのだろう?」と興味関心を示しますし、回答日から出来るだけ早く報告をした方が良いので、詳細の分析(例:営業部門の男性の30代未満の意識はどうか?など)に入るまえに、全体(全回答者の平均値など)での単純集計を公表しておくことで、回答者の期待に応えることができるようになります。

 

 

小数点以下の端数処理を考える

アンケートの小数点以下の値の処理についても、集計開始時にルールを決めておきましょう。集計の年によって、「3.54」と言った小数点第2位までであったり、「3.5」と少数点1位でとどめると不統一の場合は、見た目も美しくありませんし、四捨五入や繰上げ・切り捨ての位置も変わってきますので、時系列等で並べて確認したときに誤った結論となる恐れがあります。意識調査であれば、100分の1の違いが大勢に影響することもありませんので、2.5や4.3など小数点第1位で比較すれば十分でしょう。

 

 

単純平均だけが集計ではない

アンケートの集計にあたっては、平均点を計算することを想起しがちですが、必ずしも平均点を計算すれば十分であるとは限りません。
例えば、5点満点の設問をイメージしてみてください。3点を付けた人が10人いた場合は、平均点は3点になりますが、1点を付けた人が5人、5点を付けた人が5人でも、平均点は3点になります。
同じ3点であっても意味合いが異なりますので、単純平均だけでは正確に意味を表示しているとは限りません。単純平均だけでなく、標準偏差なども集計し回答のバラつきも併せて確認する必要があります。